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生業に関わる方法

プラント・オパール分析

■キーワード

  • プラントオパール(植物珪酸体)
  • 稲作
  • 水田遺構
  • 植物遺体および灰試料の母植物
  • 土器胎土

■プラントオパールとは

植物珪酸体は高等植物(維管束植物や蘚苔植物など)の細胞組織に充填する非晶質含水珪酸と定義され、 大部分の植物は各種細胞に珪酸を多少とも沈積させます。この植物珪酸はイネ科・カヤツリグサ科や羊歯植物の一部・ 蘚苔植物において含有量の高いことが知られ、 そのうちイネ科については形態分類の研究が進められています。 なお、プラント・オパールとは、植物珪酸体が、植物が枯れるなどして土壌中に保存されたものを指します。

イネ現生
イネ現生
チシマザサ現生
チシマザサ現生
ススキ現生
ススキ現生
ヨシ現生
ヨシ現生

■目的

1)検出されたイネのプラント・オパールから、試料採取地点における稲作の有無について検討します。
2)水田遺構の確認やその広がりを探査します。
3)土器胎土中のプラント・オパールから稲の存否について検討します。
4)イネ科植物の遺体や灰試料については、試料より得られた機動細胞珪酸体から、その母植物について検討します。

■対象試料

1)稲作の検討有機質粘土、粘土、シルトなど堆積物
2)水田遺構の確認・探査有機質粘土、粘土、シルトなど堆積物
3)土器胎土中のプラント・オパールの検討土器
4)植物遺体、灰試料の母植物の検討イネ科植物とみられる遺体、炉址などの炭化物および灰

■方法

1)稲作の検討
試料約1g(秤量)にガラスビーズ加えます。これに過酸化水素水を加え有機物を分解し、沈降法にて細粒部を除去します。 残渣をグリセリンで封入し、生物顕微鏡(300ー600倍)を用いて機動細胞珪酸体について同定、計数して試料1gあたりの検出個数を算出します。
2)水田遺構の確認・探査
1に同じ。
3)土器胎土中のプラント・オパールの検討
超音波洗浄器などで洗浄した土器片の表面をさらにミニルーターで削り取り、埋没過程で付着した土を取り除きます。 この土器片を水に浸し、12時間減圧器にかけた後、鉄入鉢にて粉砕し、沈降法にて細粒部を除去して残渣をグリセリンで封入し、 生物顕微鏡(300-600倍)で観察、同定します。
4)植物遺体、灰試料の母植物の検討
植物遺体や灰試料を乾燥後、電気炉にて完全に灰化するなどの処理を行った後、グリセリンを浸液としてプレパラートを作成し、 生物顕微鏡(300-600倍)にて観察される機動細胞珪酸体などの形態からその母植物について検討します。

■解析

1)稲作の検討
結果は図表にまとめ、イネのプラント・オパール(機動細胞珪酸体)の試料1gあたりの検出個数から稲作の有無について検討します。
2)水田遺構の確認・探査
1に同じ。
3)土器胎土中のプラント・オパールの検討
作成したプレパラートについて、稲の存否について検討します。
4)植物遺体、灰試料の母植物の検討
観察される機動細胞珪酸体の形態記載を示し、現生標本と比較して母植物について検討します。
ダイアグラム
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