業務案内
遺物の材質および技法
■キーワード
■概要
漆やアスファルトなどの材料や繊維、特に有機質材料の同定を目的とします。 化合物に対して赤外線を照射すると、一定の波長域において赤外線の吸収が起こります。 赤外線を照射して得られる赤外吸収スペクトルは化合物ごとに異なります。この性質を利用して、 試料と標本との赤外吸収スペクトルの比較により材料を同定します。
■対象試料
漆器、繊維、塗料、紙など有機質材料。目的によっては一部の顔料などの無機質材料。試料の必要量は1mm角程度。
■分析方法
試料から1mm角程度の試料を採取し、薄く押しつぶしながら厚さ1mm程度に裁断した臭化カリウム(KBr)の結晶板に挟んで、 油圧プレス器を用いて約7トンで加圧整形します。
これを試料ホルダーに載せて、顕微型赤外分光分析計により測定し試料の赤外吸収スペクトルを得ます。 なお、測定は顕微型の赤外分光分析計を使用するため、微小試料を測定する場合に優れています。 また、試料が微量ですのでほぼ非破壊分析です。
■解析・考察
同定結果に基づき、塗料、接着剤、布の素材など各種遺物の材料についてその利用傾向を考察します。 なお、X線分析顕微鏡の併用により漆器の蒔絵あるいは顔料についてより具体的な検討が可能となります。