分析例1

大黒天像(個人所蔵)の年代測定と樹種同定

大黒天像

図1 大黒天像

試料採取

年代測定

  • 放射性炭素年代測定に必要な試料を像の底面から採取しました。
  • 今回は測定の精度を上げるために、2ヶ所から0.1gずつ試料を採取しました。

樹種同定

 年代測定の試料採取箇所(試料1)から、カミソリを用いて切片をとりました。

試料採取箇所

図2 試料採取箇所

結果

年代測定結果

1640-1661 cal AD(95.4%)=江戸時代前期

年代測定結果

図3 年代測定結果

樹種同定結果

 切片を光学顕微鏡で観察した結果、ヒノキ材であることがわかりました。

木材組織

図4 木材組織の光学顕微鏡写真
(左:接線断面、右:放射断面)

  • 木の年代測定は、最も外側の年輪(最外年輪)を測定した場合に、その木材の伐採年代を示します。そのため、最外以外の内側の年輪部分では、より古い年代を示します。
  • 大黒天像に使用されていた木材は心材であり、辺材および最外年輪はありませんでした。
  • したがって、年代測定結果は大黒天像に使用されていた木材が江戸時代前期より後のある時期に伐採されたことを示しています。

木取り

図5 大黒天像の木取り

分析例2

「開運!なんでも鑑定団」において、年代測定を行いました。