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年代測定及び推定法

火山灰同定テフラ同定[鉱物組成・屈折率測定など]

■キーワード

  • 広域テフラ
  • 重鉱物組成
  • 軽鉱物組成
  • 火山ガラスの形態
  • 火山ガラスおよび重鉱物の屈折率測定
  • 給源
  • 噴出年代

■概要

テフラ同定は、遺跡における層序の確立を目的とします。さらに、テフラは同一時間面を示すため、遺跡間の対比において有効です。 たとえば、姶良Tnテフラ(AT、較正年代で約26,000-29,000年前)は、日本列島の広範囲に分布することから、 日本列島内の後期旧石器時代研究において基準層として重視されています。

テフラは、火山または噴火ごとに重鉱物組成、火山ガラスの形態・色、屈折率値が異なることが知られています。 これらの特徴を用いて、テフラを同定し、給源火山を明らかにします。

■対象試料

試料は、テフラ層の一部を採取する場合や、垂直方向に等間隔に採取する(テフラ検出を目的とする)場合があります。 試料は、最大30g(鶏卵一個体程度)を必要とします。

■方法

AT(姶良Tnテフラ)の顕微鏡写真
AT(姶良Tnテフラ)の顕微鏡写真

試料を適量湿式ふるいわけした後、任意の残渣を重鉱物と軽鉱物に分離します。それぞれについてプレパラートを作成し、顕微鏡下で鉱物類の分類・計数を行ないます。 また、軽鉱物中に含まれる火山ガラスについては町田・新井の分類基準に基づき、形態別に計数します。 なお、火山ガラス含有率の高い試料については、火山ガラスの屈折率測定を行ないます。さらに、重鉱物の屈折率測定を行う場合もあります。

■同定

AT火山ガラス屈折率
AT火山ガラス屈折率(縦軸:測定粒数、横軸:屈折率)

分析により得られた鉱物組成、火山ガラスの形態、屈折率値などからテフラの同定を行います。 なお、これらの特徴が類似したテフラも存在するため、同定の際は層位的関係など発掘調査時の所見が重要です。 同定したテフラの噴火様式、分布、噴出年代などが明らかとなっている場合は、それらについて記述します。

なお、テフラが一次堆積の場合には問題ありませんが、二次堆積している場合や化学的変化をしている場合があり、 同定結果の使用にあたっては注意が必要です。

参考文献

町田 洋・新井房夫(2003)新編火山灰アトラス日本列島とその周辺.財団法人東京大学出版会,336p.